学生はコロナ禍の今、将来への不安を募らせている


 3年前、内閣府の特別の機関の一つである「日本学術会議」はこう提言しています。 

「もっと日本の大学のキャンパスを魅力あるものにするように」  

 同会議は、国際競争に晒される大学のキャンパスの環境改善に目を向けたのです。  

 しかし、ある英国の詩人はこう述べています。 

「この地上に大学より美しいところはないというのは、大学の塔や建物、芝生の緑のお陰ではない。そこが無知を憎む人が知る努力をし、真実を知る人がそれを伝えようと力を尽くしている場所だからである」  

 確かに、大学のキャンパスは新しい知識を求める学生と真理に身をささげる教員とが行き交い、語らい、学び合い、教え合うことで美しく輝くのでしょう。  

 しかし、大学では今、コロナ禍でキャンパスが閉ざされ、学生は個々にパソコンと向き合ってオンライン授業を受けています。  

 それぞれの大学では収まらないコロナ禍を背景に秋学期も原則オンラインとする方針が相次いで示され、学生から不満や不安の声が上がっています。  

 学生が辛いのは、リポートの課題ばかりで質問もできずにその作成に追われる孤立感にあるようです。  

 なかには動画やレジュメだけの授業もあり、施設を使えないのに高い授業料を支払っている不満も大きいようです。  

 学生は今、議論を交わす相手もなく、将来への不安を募らせています。  

 立命館大学新聞の調査によると、退学を視野に入れて今後を考えている学生が1割近いという結果は衝撃的でした。  

 ウィズコロナ時代の大学キャンパスの新しいかたちを探らないことには、この国の知の未来が危ういと思われます。  

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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