国際社会は今、レバノン杉を植え直すという考えが必用


 聖書には、レバノン杉がよく登場します。  

 レバノン杉のイメージは、背丈の高さや麗しい枝ぶりでしょう。背丈の高さは、まさに雲にも届きそうなイメージです。  

 その枝葉に大自然に生きる鳥が巣をつくり、その枝の下に荒野を走り回る動物が子どもを産み、その周辺の至るところに人が住んでいるという世界が想像できます。  

 レバノン国旗の中央には、レバノン杉が描かれています。そこには、キリスト教やイスラム教の諸宗派からなる国民の統一の願いが込められているといいます。  

 このレバノン杉は、かつて中東に広大な森を茂らせていました。しかし、乱伐によって今ではごく一部に残っているだけです。  

 レバノンは今、長年の諸派間の内戦による荒廃、隣国からの難民流入、経済危機や格差拡大による政治の混乱の渦中にあります。  

 そんな最中、かつて〝中東のパリ〟と呼ばれた首都ベイルートは突然、想定外の大爆発に襲われました。  

 テレビから流れるニュース映像に一瞬、目を疑いましたが、白くドーム状に膨れ上がる衝撃波は核爆発を連想させました。  

 港の倉庫の硝酸アンモニウム2750トンの爆発は、街を破壊して5000人以上を死傷させています。  

 大量の化学物質は、税金の不払いで差し押さえた船から6年前に移して放置されたままだったといいます。  

 ニュース映像で目を引いたのは、現場を訪ねた旧宗主国フランスのマクロン大統領に住民が政府の無策への不満を訴える姿でした。  

 国際社会は今、レバノン杉を植え直すという考えが必用でしょう。  

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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