宴の主催者は金まみれなのに知らんぷり


 北米西海岸の先住民の間では、ポトラッチと呼ばれる客に富をばらまいて部族長らの偉大さを示す祝宴が行われていました。  

 家主は貴重な魚油を盛大に燃やし、客に毛皮や毛布、銅貨やカヌーなどを贈ったといいます。こうした宴の目的は、気前のよさで客を圧倒することでした。  

 ポトラッチで「客に恥をかかせる」とは、客が返礼できないのを恥じるほど気前がいいという意味です。  

 国会議員の河井克行容疑者と妻の案里容疑者から現金を受け取ったとされる広島県の地方議員や首長は今、告白や辞任のドミノ現象を起こしています。  

 先日、頭を丸刈りにして続投姿勢を示していた安芸高田市長も一転して辞意を表明しましています。地元では、名の挙がった県議や市議らの去就に注目が集まるのも当然の成り行きです。  

 ただ、買収の疑いのある金を受け取った恥に加えて辞任すべきかどうか周りを見ながら逡巡する姿勢も見苦しいかぎりです。これは、恥をかかせるポトラッチを受け取ったツケでしょう。  

 しかし、当のポトラッチの主は買収容疑を否定して議員辞職の気配もありません。  

 この主も、さらにその上の主の大盤振る舞いで巨額選挙資金を手にしていました。呆れるのは、恥を我がこととは思わない〝議員〟という名のカネにまみれた連中です。  

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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