土俵の神様は回復力を兼ね備えた看板力士の帰還をもたらした


  江戸時代、大相撲では「大関」だった力士が次の場所で幕下に格下げされたこともありました。大関といっても、立派な体格だけで客寄せのために番付にのせた看板大関のことです。  

 看板大関は、開かれる場所で取組は全休か、1~2番取るだけでした。まさに、1場所限りの看板だったのです。  

 ただ、相撲の才能のある者には後の場所で相応の地位を与えられることもあったといいます。なかには「仕込めばものになる」と幕下の二段目で採用される力士もいたといいます。  

 元大関の照ノ富士は、ケガや内臓疾患により1度は序二段まで落ちました。しかし、今年7月場所で東前頭17枚目の幕尻に復帰し、5年ぶり2度目の優勝を成し遂げました。 

「笑える日が来ると信じてやってきた」  

 コロナ禍に気持ちが浮かない今、待ちに待った観客を半年ぶりに迎えた夏場所で、5年間の試練に耐えた元大関がファンの心に刻みつけた〝V字回復〟の文字でした。  

 土俵の神様も、実力と風格、時代が求める〝復活力〟を兼ね備えた「看板力士」の帰還をもたらしてくれたのです。  

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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