地球温暖化で大繁殖した昆虫が人の食量を食い尽くす
人気漫画「ゴールデンカムイ」に、こんなシーンがあります。設定された場所は、明治時代末期の北海道です。 「なんだ、あの黒い雲は」 誰もが〝黒い雲〟と錯覚したのは、トノサマバッタの大群でした。
無数のトノサマバッタは瞬く間に農作物を食い尽くし、人々は蝗害(バッタの害)の恐怖に逃げ惑います。
この漫画は、アイヌ民族の少女や日露戦争の帰還兵が財宝を追い求める物語が描かれています。
登場する人物は、目の前に広がる「蝗害」を目の当たりにしてこう嘆きます。
「こいつら、集団で飛び立つと何十キロもの距離を移動して海だって越えちまう」
トノサマバッタの大群は、大昔から人類を苦しめてきました。北海道の近代史も、度重なる「蝗害」との戦いでもありました。
その仲間の一つであるサバクトビバッタが今、億単位の集団をつくって世界を荒らし回っています。しかも、1日の飛行距離は130キロメートル以上だといいます。
凄まじい勢いで繁殖した群れは東アフリカやアラビア半島で猛威を振るい、食べ物を求めてペルシャ湾を越えてパキスタンへ、インドへと飛来していきます。
中国も今、その襲来に備えて警戒態勢に入っているといいます。
北海道の蝗害は、昭和初期まで続きました。今度の〝黒い雲〟が日本にまで広がることはないにしても、蝗害に見舞われた各地の食糧不足が地球全体に影響をおよぼすことは間違いないでしょう。 コロナ禍と向き合わなければならない困難な時代に、もうひとつの脅威が立ちはだかっているのです。
この昆虫たちの異常な繁殖は、地球温暖化が一因との指摘もあります。
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