略奪が始まるとき、銃撃が始まる


 米国ミネアポリスの暴動をめぐり、トランプ大統領はツイッターでこう呟きました。 

「looting、shooting」  

 日本語に訳すと、「略奪が始まるとき、銃撃が始まる」となります。   

 暴動の発端は、白人警官が拘束した黒人男性を死に至らしめた事件です。報道された映像を見ると、地面に転がされた男性の首を警官が膝を使って押さえ込んでいます。  

 黒人男性は、白人警官にこう訴えます。 

「息ができない」  

 しかし、黒人男性の訴えは聞き入れられません。   

 黒人男性は搬送先の病院で亡くなり、これを知った地域住民の悲しみ、怒り、無力感が警察に対する抗議デモという形で爆発したのです。それが全米各地に広がり、暴動という形で吹き荒れています。  

 このトランプ大統領の「略奪が始まるとき」というツイート対して、運営会社のツイッター社は注意喚起とともにこうコメントしています。 

「暴力を美化している」  

 この言葉は、1967年にマイアミの白人警官が黒人への対処方法について述べた言葉だといいます。  

 その意味は、「もし黒人が略奪すれば、我々は容赦なく撃つ」という冷酷な脅しです。むろん、暴力を認める言葉でもあります。 

 トランプ大統領は、人種差別の暗い歴史を持つ言葉をあえて使ったのです。  

 英国の伝承童謡「マザーグース」に、次の一編があります。 

「風が吹くとき、ゆりかご揺れる   枝が折れるとき、ゆりかご落ちる   赤ちゃん、ゆりかご、もろともに」   

 この不気味な文句は、木の上で差別という風に大きく揺れる米国という〝ゆりかご〟を連想させます。  

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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