コロナ禍と恥の文化


 1946年、のちにロングセラーとなる「菊と刀」が出版されました。著者は、ルース・ベネディクトという女性です。  

 第2次世界大戦中、米国には「戦時情報局」という組織がありました。彼女は、そこで敵国日本の研究に従事していました。 

「日本人の行動パターン」と題した報告書をまとめ、対日政策にも影響を与えています。戦後、この論考を発展させたのが「菊と刀」なのです。  

 この本の核心は、米国が「罪の文化」、日本が「恥の文化」という深い洞察でしょう。 

 彼女によると、日本人の行動指針は自分の振る舞いが世間からどのように評価されるかにあり、たとえ過ちを犯しても「世間の知るところ」とならない限りさほど気に病まないところにあるといいます。  

 今回の日本のコロナ禍対策について、海外メディアはこう伝えています。 

「ことごとく見当違いに見えるが、奇妙にもうまくいっている」  

 ノーベル賞を受賞した山中伸弥さんは「なぜ染者や死者が欧米に比べて少ないのか」という謎を「ファクターX」と呼び、解明が必要と説いています。  

 この「ファクターX」は、たぶん「菊と刀」に書かれている日本の「恥の文化」と繋がっているところがあるのでしょう。  

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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