秋霜烈日バッジが泣いている


 検察官が胸につけるバッジは通称、〝秋霜烈日バッジ〟などと呼ばれています。国語辞典で「秋霜烈日」の意味を調べると、「刑罰や威力が厳しく、ごまかしを許さない様」と書かれていました。

 この70年前に作成されたバッジは、形が霜と日の組み合わせに似ています。それが厳正な検事の職務とその理想を示すとして、「秋霜烈日」という四字熟語で呼ばれるようになったといわれています。  

 しかし、最近、その烈日に少し陰りが見えています。先月末、ほどなく63歳の定年を迎え退官するはずだった東京高検の黒川弘務検事長の任期が半年間延長されたのが発端です。  

 表向きは「業務上、必要があった」との説明ですが、前例のない措置を周りはそう見ません。官邸に近いとされる黒川検事長にとって、これで今夏にもトップである検事総長への道が開かれた格好です。  

 昨今ではやっと身内からも批判が上がり出し、全国の検察幹部の会議で「国民に経緯を説明すべきだ」と問題提起があったといいます。  

 これまで検察は政界に切り込み、腐敗を抉り出してきた捜査機関です。政権から贔屓され、公正さに疑念を抱かれては迷惑千万と感じるのが普通の感覚でしょう。

 政治との間合いが秋霜烈日ならぬ春風駘蕩と相成って巨悪がすやすやと眠る事態はごめん被りたいものです。  

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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