コロナ禍の銘酒は〝村醒め〟


 上方落語「煮売屋」は、お伊勢参りの道中の喜六と清八が村の飯屋に立ち寄り、店主にいろいろ絡む話です。  

 村には銘酒があり、銘柄は「村醒め」「庭醒め」「直醒め」といいます。  

 店主の説明では、「村醒め」は村を出るころ酔いが醒める酒、「庭醒め」は庭に出ると醒める酒ということです。  

 2人が店主に「直醒めは?」と聞くと、店主は「飲んでるそばから覚める酒」と説明します。 

「酒にぎょうさん水混ぜるんやろ?」 

「いえ、水ん中に酒混ぜます」  

 銘酒と称した「直醒め」は、もっともらしいブランドをつけた水増し酒だったのです。  

 なお「村醒め」という言葉は、後に水っぽい酒と上等の酒という相反する意味をもった〝隠語〟として世間に広まっています。  

 コロナ禍の今、酒飲みは何かと肩身の狭い思いをしています。  

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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