歴史から見捨てられた戦争


 戦争は、どんなものでも市民や兵士の死が悲惨で理不尽な思いが沸き起こります。  

 1952年に起こった朝鮮戦争は、3年間に渡る戦禍で400万人の犠牲者を出しています。  

 この戦争が〝特異〟なのは戦前とほぼ変わらない境界で休戦となり、新たな秩序形成や戦争そのものの終結すらできなかったことです。   

 時の北朝鮮の指導者だった金日成は、南への侵攻を前にソ連のスターリンに冒険的野心を漏らしていたといわれています。 

「銃剣の先で南に触れてみたい」  

 わずか3週間で全土を制圧する目論見だったといいますが、その奇襲による開戦からすでに70年が経っています。  

 米国のノンフィクション作家ハルバースタムは、朝鮮戦争を描いた遺作で参戦した米兵の言葉「ダイ・フォー・ア・タイ」を引用しています。 

「引き分けのための死」  

 先年の米朝や南北の首脳会談では、休戦状態にある戦争の終結宣言がなされるのかと注目されました。  

 しかし、その後は北の非核化の見通しはむしろ遠退き、逆に北による韓国への軍事挑発の緊張状態のなかで開戦70年を迎えています。  

 ハルバースタムは、遺作で朝鮮戦争をこう表現していました。 

「歴史から見捨てられた戦争」  

 米国の視点からの朝鮮戦争観でしたが、開戦から70年の歳月を経ても平和を生み出せなかった事実だけが残っています。  

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

0コメント

  • 1000 / 1000