興行師にもなれない安倍政権の情けなさ


 落語は、枕と本編、オチで構成されています。この3つを、それぞれ独立させることなく一連の流れで話します。この流れで、一席の落語ができ上がります。  

 その枕に、「八間の大灯籠」というものがあります。内容は、こうです。  

 どんな灯籠かと興味を持って小屋に入ると手を引っ張られ、そのまま8間(約14メートル)ほど先の裏口から追い出されるという流れです。

 「さあ、通ろう、とうろう」  

 枕は、落語を聞きやすくするための重要な手法です。  

 米国でも、似たようなインチキ見せ物が実話として伝えられています。  

 観客が「イーグレスはこちら」と書かれた看板に興味を持ち、どんな化け物なのかを見て見ようと列に並ぶとそのまま裏口から外に出されたというものです。  

 実は、イーグレスとはラテン語に由来する「出口」を表す言葉だったのです。  

 19世紀の伝説的な興行師バーナムが残した逸話ですが、いくら何でも文字通りの〝伝説〟でしょう。  

 騙されても入場料を損するくらいならいいのですが、世の中には人々の生命と生活がかかった「出口」というものもあります。  

 今なら、コロナ禍による外出自粛や休業要請からの「出口」がそれを指しています。  

 緊急事態宣言が解除されたことで、今後「出口戦略」に関心が集まっています。誰もが聞きたいのは、まさに「イーグレスはこちら」という案内でしょう。  

 政府には、やはり緊急事態宣言の発令者として出口への道筋を具体的に、わかりやすく指し示す責任もあるはずです。 

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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