日本のデジタル技術は世界で62位


 スイスのローザンヌに拠点を置くビジネススクールIMD(国際経営開発研究所)は6月16日、世界競争力ランキングの2020年版を発表しました。  

 調査対象は、63か国・地域です。ランキングは各国政府や世界銀行の統計データと、経営者へのアンケート調査を基に算出されています。  

 ランキングでは、1位は2年連続でシンガポールでした。シンガポールは健全な財政や雇用、企業の高い生産性などが評価されています。  

 中国の統制強化が強まる香港が「一国二制度」の〝形骸化〟に直面して5位となり、19年の2位から後退しています。まさに今、世界中から多くの投資家や富裕層を引きつけてきたアジアの金融センターとしての地位が危うくなっています。  

 通商や軍事の問題を中心に対立する米中も順位を落とし、米国は前年の3位か10位に後退しています。中国も6つ順位を落とし、20位でした。  

 肝心の日本は、4つ順位を下げて34位と過去最低を更新しています。とくの〝ビジネスの効率性〟をめぐる評価が低く、起業環境や国際経験は分野別で最下位という体たらくでした。  

 理由は、ハッキリしています。日本の新規開業率は5%ほどで、それが10%を超えている欧米諸国に比べると大きく見劣りがします。日本は厳しい規制や高い法人税が起業を難しくし、外国からの投資も呼び込みにくくしているのです。  

 携帯ネット契約(1位)や環境技術関連(2位)といったインフラ面が強みとして評価されていますが、デジタル技術は62位といった有様です。  

 確かにコロナ禍の感染対策で感染経路の調査は電話で聞き取り、給付金のネット申請でも障害が頻発するなどデジタル化の遅れを実態として露呈しています。  

 コロナ過は企業活動に大きな打撃をもたらし、働き方や消費など生活様式も大きく変えました。  この危機を克服できるのは経済の弾力性、政府や個人の適応力、充実した医療保健システムの3つで、これが今後。国家の競争力の決め手となっていくでしょう。  

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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