白い猫でも黒い猫でもネズミを捕る猫は良い猫


 かつてシリコンバレーでグーグルが頭角を現していたころ、日本の大企業は時代の変化をとらえ切れなくなっていました。  

 アナログからデジタルへという時代の変化のなかで、パナソニックやシャープなど日本の電機メーカーは、「大切なものが作り込みの品質から意思決定の速さや市場選定、リスクテイクに変わっている」という時代の変化に気づけなかったのです。  

 代わって、それを察知した韓国のサムスンなどが大成功を遂げています。  

 100年続いたガソリンエンジンがEVへと変わるとき、自動車産業でも同じようなことが起きるでしょう。  

 新規事業や起業とは、暗闇の中で光を探し小さな穴をこじ開けていく作業です。だが、今の経営者層はデフレのため40歳代のバリバリの現役のときにそれに取り組んできませんでした。  

 翻って50年前、日本企業は時代の変化をとらえることに極めて積極的でした。その〝遺産〟もあって、日本のビジネスマン今でも海外の人から実態とは違う〝高い評価〟を受けているところがあります。  

 ただ、日本の企業やビジネスマンはこの〝無形資産〟を積極的に活かそうとはしていません。  

 今の日本の企業やビジネスマンは、たとえばミャンマーでは〝NATOくん〟と呼ばれているといいます。それは「ノーアクション・トークオンリー」ということを指し、調査ばかりで実際にビジネスを始めようしないという意味です。  

 日本の企業やビジネスマンをここまで消極的にさせているのは、空気感としてコンプライアンスに従って〝きっちりやる〟という感じになってしまっていることでしょう。  

 コロナ禍の今こそ、鄧小平が言った「白い猫でも黒い猫でもネズミを捕る猫は良い猫だ」といった調子で積極的に邁進すべきなのかもしれません。  

 ちょっと悪いことが起きても、そこは今後の経済成長がカバーするから大丈夫といったくらい積極的になるべきでしょう。  

 コロナ禍で負ったマイナスから抜け出すには、それくらいの意欲が必要なはずです。 

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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