新しい日常は面倒で厄介


 コロナ禍の感染拡大で、劇場や寄席の灯が次々と消えていきました。  

 緊急事態宣言が解除された今、再開へむけて動き出した舞台や客席の主催者はいかにソーシャルディスタンスを確保して安全に公演できるか苦慮しています。  

 興行を始めた寄席では、客席を前後左右に間隔を取って着席可能な市松模様のように配置しているところもあります。漫才コンビのなかには、フェースシールド着用で安全と笑いの共存を目指しているコンビもいます。  

 複数の俳優が舞台に上がる演劇は、さらに感染対策が悩ましいようです。ガイドラインでは飛沫感染を防ぐため「出演者間で十分距離をとる」と書かれていますが、言葉や表情を見せる演劇でマスク着用というわけにもいかないでしょう。  

 ガイドラインで示されている「参加人数は収容定員の半分以下」という指針も、興業の採算的には厳しいものです。  

 ぴあ総研の試算では、来年1月時点でも客足は通常の8割弱にとどまる見通しとなっています。しかも、完全回復には来年1年間はかかるとみられています。  

 それも第2波、第3波に見舞われると、ふたたび振り出しに戻ります。  

 無観客の劇場から舞台映像を生配信する試みも、一部で始まっています。しかし、舞台芸術の醍醐味は舞台と客席の密な一体感にこそあるでしょう。  

 ウィズコロナ時代とは、かように面倒で厄介な日常性生活の時代でもあります。  

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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