レインボーブリッジの赤い灯


 コロナ禍の今、赤く点灯してコロナ禍の感染が再び拡大傾向にある警戒警報「東京アラート」を都民に告げるお台場のレインボーブリッジを見ていると、かつて聴いたことのある浅川マキさんの沈鬱な歌声が頭を過ります。  

 歌手で作詞家、作曲家、編曲家でもあった淺川さんは、1942年生まれで2010年に亡くなっています。1970年に発表された浅川さんの歌「赤い橋」には、次のくだりがあります。 

「不思議な橋がこの町にある 渡った人は帰らない」  

 その赤い橋を渡ると、いつか自分も消えていく気がする不思議な歌でした。  

 東京で緊急事態宣言が解除されたのは、5月25日のことでした。その後、少しずつ〝普通の日〟が戻りつつあったのに、わずか約一週間でアラートが発令されたのです。  

 今、増えている感染者は、緊急事態宣言が解除される前に感染した人と考えられます。解除後、町にドッと戻った人波を思い浮かべると、来週あたり感染者がさらに増えていても不思議ではありません。  

 一度、緩んしまった心のタガを再び引き締めるのは大変ですが、今や〝天敵〟となった目に見えないウイルスを前に気をつけるしかないでしょう。  

 この〝天敵〟は「赤い橋」の歌とは違って、橋を渡って消えていったように見せかけてまた帰ってくるような〝厄介者〟なのです。  

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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