コロナ禍の拡大と宗教


 近代科学の父とも呼ばれるガリレオ・ガリレイは1633年、こう呟いたといいます。 

「それでも地球は動く」  

 前年、フィレンツェで出版した「天文対話」という本のなかで地動説を唱えたとして異端審問の裁判にかけられ有罪を宣告された直後のことだったと伝わっています。  

 しかし、実際にガリレオが口にしたという確証はないようです。ただ、科学と宗教の相性の悪さを象徴する一言として広く世界に知られてきました。  

 この件で、ローマ教皇のヨハネ・パウロ2世が「あの裁判は誤りだった」と認め、ガリレオに謝罪して名誉を回復したのは裁判から350年以上の歳月が経った20世紀も終わりに近づいたころでした。   

 今でも、科学と宗教の関係は微妙です。新型コロナウイルスが世界で急速に広がった一因として、宗教の存在が浮かび上がっています。多くの国では、宗教行事にともなう人々の密集が感染爆発を招いたと指摘されてきました。  

 英国のエリザベス女王は、今年のイースター(復活祭)に際して国民にこう訴えています。 

 「離れていることで安全が保たれる」  

 同時に、こうも述べています。 

 「イースターが中止になることはない。むしろかつてなく必要だ」  キリスト教でなくても、イースターを「繋がり」や「絆」と読み替えると頷けるメッセージでしょう。  

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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