一括りにしがちな風潮を戒める
宮古島では、かつて15歳から50歳までの男女に人頭税が課されていました。江戸時代、薩摩藩に支配された琉球王朝が、藩に収める税の負担を従属的な立場の島々に丸投げしたのです。この人頭税の取り立ては、実に266年も続いています。
数多くの島からなる沖縄では、王朝政治の象徴である首里城への視線も一つではないはずです。それは多様な意見を持ち、異なる立場の人を「オールジャパン」「すべての国民」と一括りにしがちな風潮への戒めでもあります。
日本には、今や外国人などさまざまな背景をもつ人が暮らしています。昨年には、アイヌ民族を先住民と明記するアイヌ新法も施行されました。日本という大きな器の中身は、ダイバーシティ(多様性)と無縁ではないでしょう。
環境省の那覇自然環境事務所が編んだ冊子によると、琉球列島には固有種が少なくありません。とくに宮古島がある宮古列島には、沖縄本島を含む沖縄諸島にもいない生物が生息しているといいます。
島の洞窟からは、北方系のネズミの化石が見つかっています。その渡来ルートは、謎めいています。生き物の往来が作りあげたこの多様性こそ、沖縄のシンボルでしょう。
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