コロナ禍の感染対策に打つ手なしの貧困地帯


 ブラジル第2の都市リオデジャネイで今、いくつも存在するスラム街(ファベーラ)の住民がコロナ禍の感染拡大に怯えながら暮らしています。  

 このファベーラから生まれた音楽ジャンル「バイレ・ファンキ」のダンスパーティーは中止され、街頭にある麻薬売買場も一部で〝閉鎖〟されているといいます。  

 当局の権限がおよばない無法地帯のため、地域を牛耳るギャングやそれに対抗する民兵団が感染拡大防止のため自主的に住民に外出禁止命令を出しているのです。  

 ブラジルでは、これまでコロナ禍は〝金持ちの病気〟と言われてきました。当初、欧州から帰国した比較的生活が豊かな人たちが持ち帰ってきたからです。  

 しかし、コロナ禍は直ぐに貧困地域にも広がり、全国1500万人近くに上るファベーラの住民が感染の恐怖に慄いているのです。  

 実際、ファベーラは人口が密集しています。不法就労者が多く、公共サービスも劣悪で感染拡大が加速しかねません。  

 一方で、ファベーラには事実上、これといった政府機関がなく、さまざまな麻薬ギャングが抗争に明け暮れ、さらに警官と連日のように銃撃戦を繰り広げながら近隣の法秩序を司っているというわけです。  

 こうした貧困地帯のインフラも酷い有様で、ブラジル当局によると同国で公営水道を利用できない人が約4000万人に達し、人口のおよそ半数に当たる1億人は下水設備なしで生活しているという実態があります。  

 基本的な公衆衛生状態が目も当てられなく、コロナ禍の感染対策としてきちんと手を洗うための水さえありません。  

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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