鬼は自分の化身
節分の日、スーパーを訪れると鬼のお面が商品の陳列棚に置かれていました。鬼を追い払うための「鬼やらい」の豆を購入すると、それが一枚もらえるということでした。
手に取ってみると、とても恐れるべき鬼には見えません。顔も赤く、ちゃんと角もあるのですが、まったく怖くないのです。どちらかというと、むしろ〝カワイイ〟といった感じでした。
昔から商売絡みの鬼のお面は、さほど怖くありませんでした。ただ、鬼の不気味さだけは漂わせていた記憶があります。
この点、最近の〝ゆるキャラ〟まがいの鬼のお面を見ても、とても退治すべき怖い鬼とも思えません。節分とはいえ、そこには児童虐待の視点から「子どもを怖がらせてはいけない」といった配慮もあるのでしょう。
実際、最近の幼稚園や保育園の豆まき行事では、子どもを必要以上に怖がらせないために大人が扮した鬼は登場させず、人形などで鬼を演じるところも増えているといいます。
節分の鬼とは、そもそも冬の間に人の心に棲みつきそうになった自身の化身だとされています。それを季節が変わる前日、つまり節分の日に「鬼やらい」の神事で追い払うのです。
鬼が人の心の中に棲みつく悪心邪心なら、鬼の顔は怖いほうが追い払うべき存在として子どもにも教えやすいかもしれません。ともかく、確かなのは鬼が人の心の内に棲みついているということです。
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