コロナ禍は規制の形も変えた


 明治期に来日した小泉八雲は、日本を海外に紹介した「心」でこう書いています。 

「日本人は、文明人のなかで最も盛んに旅行する国民である。彼らを遮るものは、何もない」  

 本当に、日本人の旅好きに驚いていたようです。  

 ウイルス禍はゴールデンウイークを迎えた今、そんな国民性を大きく妨げています。

 現代の「旅する国民」を突き動かしているはずの望郷の思いも、今年は宙に浮いてしまっていることでしょう。驚くほどガラガラの新幹線駅や高速道路の映像に、帰省を見合わせた多くの人の無念が重なります。  

 政府は、スマートフォンなどのビデオ通話で故郷の肉親、知人などと会う「オンライン帰省」を勧めています。自治体のなかには、故郷の景色をネット上で見せてくれるところもあります。物足りないように思えなすが、やはり我慢なのでしょう。  

 なかには、ネットで会いたくても両親や祖父母がスマホを持っていない、操作できないという人も少なくないでしょう。コロナ禍は、慣れ親しんだ帰省の形も大きく変えてしまっています。

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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