関西電力の〝詐欺的経営〟は無残
オレオレ詐欺などで〝3役系〟と呼ばれる手口は、犯人らが3つの役を名乗って電話をかけてくるやり方です。具体的には、まず息子など家族を名乗る役、その被害者という役、そして仲介する第三者を名乗る役の3役です。
被害者は、たとえば会社の金を使い込んだ息子、訴えると怒る上司、内々ですませたいという弁護士の3者が登場する状況を信じ込まされると第三者役の〝示談〟につい縋って金を払ってしまうのです。まさに、肉親の心を狙って打たれる一芝居です。
一方、関西電力は震災後の原発停止で経営が悪化した当時、2度の電力料金値上げに当って役員の報酬削減額を上積みして利用者の理解を求めています。
しかし、その後、退任した役員18人に報酬削減分への補塡として約2・6億円が支払われていたことが明らかになっています。
業績の回復が理由といいますが、従業員の給与削減分の補塡があったという話は聞こえてきません。しかも、この補塡方針決定は取締役会に報告されてもいないのです。
この話、関電幹部の金品受領問題の調査にあたった第三者委が報告したものです。同問題では、役員ら75人が原発立地自治体の元助役から3・6億円相当を受領し、求められた工事の発注などに応じていました。
利用者や株主は表向きの芝居を見てもらう「外」の人々、経営陣の「内」の都合が第一の企業風土でついに底が抜けてしまった経営の倫理です。原発に責任ある公益企業としての再生は、この尋常でない〝詐欺行為〟を見る限り容易ではないでしょう。
コロナ禍のなかで、〝悪党〟どもは悪事を追求されることが減り、ホッとしていることでしょう。
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