世界的なマスク不足が続いている


 保険会社のアフラックが日本でがん保険の普及を成功させたのは、今まさに品薄状態となっているマスクのおかげだったといいます。日本など東アジアのマスク着用の習慣は、100年前のスペイン風邪の大流行のとき定着したとされています。  

 1970年、大阪万博で来日した当時の米国人社長が町中でマスクをかけて歩いている人々の多さを見て驚きました。その社長は、みんなが風邪よけのためにマスクをかけていると聞いて病気のリスクに対する日本人の敏感さを知ったといいます。  

 そうであるなら当時、すでに日本人の死因第2位となっていたがんの保険も成功するだろうと日本進出を決めたのです。   

 新型コロナウイルスの世界的な感染拡大は、マスクが医療従事者や重病患者のものと思っていた他の地域の人々の間で〝マスク文化摩擦〟も起こしています。  

 たとえば米国では、マスクをしたアジア系の人が暴行を受ける事件が相次いでいるといいます。マスクは感染者がするもので健康な人の予防には効果的でないとの当局の呼びかけもあり、アジアの〝マスク文化〟が差別の標的となったようです。  

 一方、感染が急激に拡大する欧州ではマスク姿の人々が急増しているといいます。こちらは〝文化の東アジア化〟ですが、保健当局は感染の疑われる人以外のマスク着用は推奨していません。やはり心配なのは、医療機関などでのマスク不足です。  

 日本では、ウイルスは阻めなくとも手指の顔への接触防止や周囲への気遣いなどでなおマスクの需要の高まり、相変わらず品薄状態が続いています。ともかく、病院や高齢者施設に行き渡らせねばならない〝マスク文化〟の試練の時です。  

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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