馬を手放したくなかった安倍首相

 

 古い小話ですが、親子で散歩していると父親が川に落ちてしまいました。子どもが「父親を助けて」と通行人に頼むと、謝礼金の交渉になりました。次第に金額が吊り上がっていくのを聞いていた親父は、こう言いました。 

「それ以上、出すぐらいならオレは沈むぞ」  

 似た話に、スコットランドのジョークがあります。  

 沼に落ちて、身動きが取れない男性がいました。男性は、上半身だけが見えています。助けに集まった人たちがロープで引き上げようとしますが、男性は動きません。  

 助っ人の一人が「持ち上げられない」と声をかけると、男性はこう答えました。 「しかたがない、あぶみから足を抜くか」  男性は、馬に跨ったままだったのです。  

 どちらもケチの話ですが、馬を諦めたスコットランドの男性にはまだ救いがあります。  

 安倍政権は、新型コロナウイルス対策として国民1人当たり10万円を給付する方針を決めました。安倍首相も、ようやく〝アベノミクス〟という馬を手放すことを諦めたようです。  

 しかし、最初は渋って、なかなか馬から下りようとしなかった安倍首相のことを国民が忘れてくれるかどうかはわかりません。  

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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