誠実さに欠ける〝愚か者〟の群れ

 英国のジョンソン首相は、新型コロナウイルスの感染で「生きるか死ぬか」の体験をしています。  一時、集中治療室に入っていましたが先日、無事に退院しました。退院後、まず語ったのが医療従事者の個々の名前を挙げての熱い感謝の言葉でした。  

 感染の危険に身を晒して職務を果たした人々のなかには、もちろん清掃員も含まれています。  

 医療崩壊の過酷な現場で、世界的に命をかけて職務に誠実を尽くす医療従事者への感謝の一斉拍手やネットでの応援が続いています。  

 今回のコロナ禍で、感染した医療従事者は世界で2万2000人以上、イタリアだけでも医師の死者が100人を上回っています。  

 一方、感染を広げるからと医療従事者が迫害されるニュースも一部の国々から聞こえてきます。残念ながら、日本も例外ではありません。  

 感染のあった病院の職員、その家族への差別や中傷が繰り返し報じられています。  

 コロナ禍でベストセラーとなったカミュの小説「ペスト」に、こういう言葉があります。 

「ペストと戦う唯一の方法は誠実さです」  

 今、職務に全力を注ぐ医療従事者が人々に求めるのは、自らの感染を防ぐ努力の誠実さでしょう。  しかし、不要、不急なのに出歩き、周りに不平不満や暴言をまき散らしている自分本位の〝愚か者〟が少なくないことに言葉もありません。  要するに、こうした人種には感染症に対するリテラシーがないのでしょう。今さら詮無いことですが、困ったものです。

  

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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