今は食べるのを我慢して2つ目のマシュマロを手に入れる

 心理学の実験で、未就学の児童を対象にした「マシュマロテスト」というものがあります。  実験では皿にマシュマロ1個を置き、子どもにこう言い残して部屋を立ち去ります。 

私は、これから出かけます。マシュマロを食べてもいいですが、食べるのを15分間だけ我慢できた人にはもう1つマシュマロをあげます。私がいない間に食べると、もちろん2つ目はありません」   子どもにとっては〝過酷〟な実験で、がまんできた子どもは平均して3分の1ほどだといいます。  日ごろ、誰の目の前にも〝マシュマロ〟が置かれています。その〝マシュマロ〟とは気兼ねなく外出し、酒場で友と飲み交わし、映画館で映画を堪能したりすることを指しています。  

 コロナ禍に見舞われる前まで、これは当たり前のように行われていた「日常」でした。しかし、緊急事態宣言が出された後、感染拡大を防ぐため、しばらくそれを我慢しなさいと言われました。  

 ただ、マシュマロテストに臨む子どもとは状況が違っています。それは、たった一人で部屋に残っているわけではないということです。  もともと「引きこもり」でないかぎり、おたがい「辛抱しようよ」「いいことが待っているよ」などと励まし合える仲間がいるでしょう。  

 コロナ禍にある今、ローマ教皇は世界中の人に向けて「ソリダリティー(連帯)の精神」を呼びかけました。この連帯で、どうしても手に入れなければならないのは2つ目のマシュマロでしょう。

  

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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