日本の学校教育は世界水準に後れを取っている

 昔の寺子屋の絵を見ていると、自由や雑然、大らかさが感じられます。机の置き方もバラバラで、まじめに手習いをする子ども、いたずらや落書きに熱心な子ども、師匠の後ろで立たされている子どもなど様々です。  

 まさに今の「学級崩壊」のようにも見えますが、それは黒板を背にした教師と向き合って整然と並ぶ机で勉強する近代の画一的な「一斉授業」の固定観念のためでしょう。  

 寺子屋では、師匠が個々の子どもに合わせた教育を考えて行う個別教授が基本だったといいます。実際、師匠が弟子の子どもの必要に応じて作成した62人分の個別学習カリキュラムが残っています。  

 新型コロナウイルスによる緊急事態宣言で都市部の休校が続き、学習の遅れや格差拡大への心配が広がっています。ここはオンライン授業で急場をしのぐのかと思っていたら、多くの教育現場では何の用意もなく混乱が続いています。  

 今さら何を言っても詮無いことですが、政府は一斉休校に踏み切った以上、感染拡大による休校長期化の対策も用意しておくべきでした。この点、中韓を含めた諸外国のようなオンライン授業もできないのは教室での「一斉授業」という固定観念のせいでしょう。  

 オンライン授業は、生徒や児童に合わせた個別指導にも活用の可能性が大きいとされています。しかし、 授業をめぐる固定観念にとらわれているようでは教育の世界水準についてゆけず、寺子屋の師匠にも笑われてしまうでしょう。  

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

0コメント

  • 1000 / 1000