政府も国民もチグハグな感染対策

 「ちぐはぐ」の語源は、「鎮具破具」という言葉だという俗説があります。なお鎮具が金づち、破具がクギ抜きを指しています。で、この2つをアベコベに使うような仕事を「ちぐはぐ」と呼ぶようになったというのです。  

 面白くできた話ですが、実際に金づちとクギ抜きを使い分けるのは意外と難しいものです。  

 ところで、今年1月下旬から始まったコロナ危機を前にして政府も世間も道具の使い分けを間違えてばかりでした。当初、双方とも人から人への感染は起きないと高をくくっていたところがありました。  

 しかし、中国武漢で災禍が広がったあとも両国の人の往来は続きました。それが2月の末には、唐突に全国一律休校へと急転換しています。3月になると自粛と緩みが交錯して過ぎ、ついに緊急事態宣言が出される羽目になりました。  

 感染拡大を阻止するため、緊急事態宣言という強力な「鎮具」使用はもっともな判断でしょう。とはいっても、個々のコロナ対策を見てみているとそのチグハグぶりは相変わらずです。  

 安倍首相の「各戸に布マスク2枚を配布」に対する国民のガッカリ感は記憶に新しいと思いますが、経済対策としての「30万円給付」も大きな数字が目を引いた割には中身がややこしいものでした。  

 ともかくコロナ過の嵐が過ぎ去ったあと、経済の打撃、社会の疲弊には計り知れないものがあるでしょう。まさに、戦後最大の危機です。 

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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