コロナ過で決断力に欠ける安倍首相

 秋元英一著「世界大恐慌」には、90年ほど前に大恐慌に見舞われた米国の職業斡旋所の様子が描かれている。 

「部屋は全く静かだ。かすかな求職者のさざめきが聞こえる。電話が鳴った。新しい仕事だ。『チャンスをください』。事務員は2人選び出す。残り1000人の絶望的な人々が無言の訴えの中に凍りつく」  

 当時、失業率が25%に迫り、1200万人以上が路頭に迷ったといいます。  

 新型コロナウイルスの感染拡大は、その再来を思わせます。  

 先週発表された米国の失業保険の申請数は、リーマン・ショック時の10倍にも上っています。4%台の失業率は、大恐慌並みに悪化するとの見方があります。2%台の日本も、雇い止めが相次いだリーマン級の5%台になるとの予測もなされています。  

 大恐慌下の米国は、銀行も経営が傾いています。就任直後のルーズベルト大統領は、銀行支援の決定と同時にラジオで国民に語りかけました。 

「お金は寝床の下より銀行に預けたほうが安全と保証します」  

 温かな口調が人々の心に響き、取り付け騒ぎどころか預金が増えたといいます  

 コロナ過に見舞われる今、政治に必要なのは失業を防ぐだけでなく社会不安も鎮めることです。   この未曾有の危機に、トランプ大統領は一時、ニューヨークを事実上封鎖する方針を打ち出しました。しかし、その効果を疑問視する知事らの批判を浴びて直後に撤回しています。大統領選へ指導力を誇示しようとして、混乱を招く始末でした。  

 安倍首相も、煮え切らない姿勢を続けています。政府がまとめる経済対策を「緊急」と称していますが、すでに日々の生活に困っている人たちに支援が届くのはまだまだ先のことです。これでは、国民の不安は収まらないでしょう。  

 昨日、そんな安倍首相もやっと緊急事態宣言を発出することを決めました。なんか、打つ手が後手後手という気がするな!

 

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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