人の食料がバッタに食い荒らされている

 蝗害(こうがい)は、バッタが大量発生して農作物が食い荒らされる被害のことを指しています。日本でも、北海道・十勝平野のトノサマバッタの大発生が蝗害として知られています。それは1879年(明治12年)に始まり、数年間も続いています。  

 ある年、トノサマバッタの大群は札幌など石狩地方にまで至っています。それが空を覆ったあと、作物を食い尽くす様子は帯広市史に書き残されています。 

「日蝕のように太陽が陰った」 

「住民たちはただ茫然として惨状を見守るばかりであった」  

 この蝗害が今、東アフリカを中心に深刻化しています。国連食糧農業機関(FAO)によると、農作物被害でケニア、エチオピア、ソマリア3カ国で1000万人を超す人が深刻な食糧不足に直面しているといいます。被害は、アラビア半島や南西アジアなど広範囲におよんでいるようです。  

 パキスタンでは、カーン首相が緊急事態宣言を出しました。新型コロナウイルスによるショックが駆けめぐる一方で、もう一つの脅威が世界を挟み撃ちにしているのです。  

 この蝗害発生の背景には、地球規模の異常気象があるとみられています。砂漠に大量の雨が降ったり、繁殖期が長期化したりすることがバッタの大量発生の温床となっているようです。ただ、蝗害の被害国では資金不足などからバッタの駆除対策が後手に回り、被害を拡大する構図となっているようです。  

 FAOは、被害の拡大が懸念される夏場に備えるため各国に資金援助などの支援を呼びかけています。世界は今、まさにコロナウイルス禍とともに国際社会の連帯が試される蝗害に見舞われているのです。

  

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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