中国は陰謀論で汚名を拭い去ろうとする

 新型コロナウイルスの世界的な蔓延は、南極大陸を除くすべての大陸に広がってしまいました。これを知って、小松左京が1964年に発表した「復活の日」を思い浮かべる人もいるでしょう。  

 この作品は、たまたま南極に居合わせた人たちが新種の感染症を生き延びるSF小説です。1980年に映画にもなった作品で、人類を絶滅の瀬戸際に追い詰めるのは人工的につくられたウイルスでした。  

 不気味なことに今、リアルに世界を大きく揺るがしている新型ウイルスをめぐっても「人工的に生み出されたのでは」と疑う声が早くから流布していました。科学的に不確かで、いかにもSF的な陰謀論の類です。  

 もちろん、陰謀論にはもっともらしい材料がつきものです。 

「震源地の武漢には、中国で最高レベルのウイルス研究施設がある」 

「当初、このウイルス研究所の建設に協力したフランスが途中で手を引いた」 

「ウイルス感染対策がテーマの会議で、習近平国家主席はなぜかバイオハザード対策の大切さを強調した」  

 一方、中国外務省の副報道局長は最近、SNSにこう書き込んでいます。 

「武漢にウイルスを持ち込んだのは米軍かもしれない」  

 こちらは、それらしい根拠さえありません。  

 このところ中国政府は新型ウイルスの〝中国起源説〟の払拭に躍起ですから、その一環なのでしょう。外務省スポークスマン自ら陰謀論を発信するとは、一党独裁の中国共産党もなりふり構わないといった感じです。

  

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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