気象病や天気病が増えている

  兼好法師は「徒然草」で心の浮き立つ春を讃えつつも、その空模様を恨んでいます。のどかな光のなか、垣根の草も萌え出しています。あちこちが春霞に覆われて、花も色づいています。  

 そんな情景なのに、こう詠んでいるのです。 

「をりしも雨風うちつゞきて、心あわたゝしく散りすぎぬ」  

 今の季節の不安定な天候は、気持ちを落ち着かせてくれません。ポカポカと穏やかな日はそれほど多くなく、風が強かったり冷たい雨が街路を濡らしたりしています。こうした落ち着かない天気は心を慌ただしくするだけではなく、実際に頭痛や目まいを生じさせてしまいます。  

 最近、「気象病」や「天気痛」といった言葉をよく耳にします。民間気象情報会社のウェザーニューズが自社のスマホアプリで「天気痛予報」を始めたといいますから、患者がたくさんいるのでしょう。   

 異状を引き起こすのは、主に気圧の低下です。内耳のセンサーがそれを感じ取り、さまざまな症状をもたらすそうです。繰り返す痛みは精神に影響を与え、それがまた痛みを強くするといわれています。  

 考えてみると、「雨風」は社会の転変にも通じる気がします。つまり、いつまでも同じものはありえないということです。空も世も人も、常に変わっていくのです。  

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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