不平不満を言っていないで「巣ごもり消費」の新機軸を探る

 冬ごもりを終えた動物や昆虫などに変わって今、彼らと入れ替わるように人が巣ごもりを始めています。新型コロナウイルスの感染を恐れた、まさに“春ごもり”です。  

 巣を意味する英語「ネスト」に「ing」をつけた「ネスティング」とは、旅行や外食より自分の家を居心地よくして楽しむライフスタイルを指しています。日本では、リーマン・ショックや東日本大震災にともなって〝巣ごもり消費〟が起こっています。  

 巣ごもり消費は、中国語で「宅経済」といいます。新型コロナウイルスの感染拡大による当局の外出規制で今、中国ではネットゲームや動画、ネットショッピングといった宅経済が人々の心の安定と物品調達を支えているようです。  

 一方、日本では学校が一斉休校になった以後、加工食品や食材の宅配サービス、学習参考書や書籍、在宅学習サービスなどの利用や購入が増えているといいます。こちらは、家にいる子どもの食事の用意や勉強への対応に手いっぱいという感じの巣ごもりです。  

 物理学者で俳人でもあった寺田寅彦の句に、こういうものがあります。

 「人間の海鼠(なまこ)となりて冬籠る」  

 史上最も早い桜の開花予想が聞こえてくる春に、思考停止でナマコとなってもいられません。ここは不平不満ばかり言っていないで、ネスティングの知恵を学んで巣ごもり消費の新機軸を探ってみてはいかがでしょう。  

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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