タイムカプセルを埋められない子どもたち

 昨秋秋、福島県双葉町立双葉北小学校を卒業した男女8人は思い立って埋めていたタイムカプセルを35年ぶりに掘り起こしたといいます。東京電力福島第1原発事故で唯一、全町避難が続くなか町に立ち入りを申請したのです。  

 しかし、この小学校の敷地にタイムカプセルを埋められなかった子供たちもたくさんいます。なぜなら、震災後、いわき市の仮設校舎で学んでいるからです。避難先で育ったため、古里の記憶がありません。しかも、15歳未満は町への一時立ち入りが禁止されているのです。  

 そんな故郷の記憶がない子どもたちは昨年、小型無人機ドローンを使った「バーチャルふるさと遠足」を体験しています。町のライブ映像が体育館のスクリーンに映し出され、「ここが自分たちの古里なんだ」と食い入るように見ていたといいます。  

 町の一部は3月4日に避難指示が解除されましたが、どれほど住民が戻ってくるのかわかりません。しかし、町を離れた一人ひとりに胸にしまった記憶があります。タイムカプセルを開けた卒業生は、こう言っています。 

「故郷に残してきた忘れ物を少しだけ取り戻せた」  

 なかには、故郷の存在に困難を乗り越えていく力をもらう人もいるでしょう。  

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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