新型肺炎感染拡大を前に、傲岸不遜な安倍首相も豹変した

  落語「火焔太鼓」では、古道具屋の女将の変わり身の早さが描かれています。ある日、女将は商売が下手な亭主に向かってこう罵ります。 

「おまえさんは、どうしてものがわからないんだろう。情けない」  

 しかし、亭主の仕入れた汚い太鼓がたまたま300両で売れた途端、前言を翻します。 

「あーら、おまえさんは商売が上手」  

 人の意見なんて、こんなものでしょう。  

 新型コロナウイルス感染に関する深刻な記者会見で、安倍首相はこの女将のように意見が変化していました。これまで独善的な政策決定が目立ち、国民世論の批判を軽視するようなところもありました。  

 しかし、先日、国民に向かって頭を下げ、政府対策への理解と協力を求めたのです。 

「意見や批判に対し真摯に耳を傾ける」  

 さらに、毛嫌いしていた野党にも頭を下げています。 

「お会いして協力を求めたい」  

 安倍首相の言う通り、この1、2週間が感染拡大を収束に近づけることができるかの瀬戸際なのでしょう。安倍首相の低姿勢に事態の深刻さが見えるのですが、国民、野党がその首相を信じて感染防止でこぞって協力できるかどうかが心配です。  

 ただ、普段の態度が肝心で、安倍首相の言葉に腹を立てる人もいるでしょう。しかし、今さら言っても始まりません。目の前には、人命がかかった危機があります。  

 意見の対立と分断の時代に容易ではありませんが、ここは与野党協力して難局に当たるべき状況です。安倍首相は「厳しい闘いが続くことになる」と言っていますが、こればかりは曲げられない真実です。  

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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