新型肺炎の感染拡大への先手を打て
幕末、コレラが流行ったとき各地で人々が鐘や太鼓を打ち鳴らして街を練り歩く悪疫払いの〝コレラ祭り〟が行われています。地域の神社から繰り出した神輿や獅子舞が街をめぐり、家々の軒下にはしめ縄が張られ、提灯も吊り下げられていたといいます。
住民は豆をまき、門松を立てる家もありました。場所によっては、住民たちが山で鉄砲を撃って邪気を払ったといいます。感染症に対抗する術を知らなかった昔、人々が疫病神を追い払うのに祭事の霊力を頼んだ気持ちはよくわかります。
ただ、悪疫退治の祭りに大勢が寄り集まると、かえって感染を広げる結果になったでしょう。
政府は今、新型肺炎の感染拡大防止のため今後2週間を目途に多数の人が集まる全国的なスポーツ、文化イベントの中止や延期、縮小を求めています。専門家の要請によるもので、これからの1~2週間が拡大抑止の瀬戸際になるとされています。
今後、スポーツや興行への経済的な影響も小さくないと危惧されています。安倍首相は、国民に直接この要請の必要な理由を説明して協力を求めるのが筋でしょう。今こそ、感染のリスクと責任を政府と国民が共に引き受けて打つ感染拡大への先手が必要です。
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