就職戦線で自分の〝売り〟は自分では気づきにくい
企業の間で運動部の学生の人気が〝急上昇〟したのは、大正期とされています。企業側に買われたのは、組織のなかで揉まれてきた点だったといいます。知らず知らずのうちに人の見方や処世術を培い、卒業するころには思わぬ修養を積んでいると企業側は評価したのです。
100年ほど経った今でも、運動部人気は底堅いものがあります。人材サービス会社のなかには、体育会学生に絞って企業との橋渡しをするところもあるほどです。
ある人材サービス会社の担当者は、こう明かします。
「時代は変わっても、会社がチームで目標を追いかける点は変わらない」
会社と運動部には、共通するところがあるというのです。
ビジネスのデジタル化とグローバル化で個人の創造性や専門性がより問われるようになりましたが、仲間と協力し合う姿勢がいらなくなったわけではありません。
陸上部で駅伝メンバーから外れても、サポート役に徹した学生を企業が採りたがるのはうなずけます。上意下達が行き過ぎても困りますが、集団のなかで4年間を過ごしてきた経験は学生の財産です。
しかし、当の学生本人は自分の強みに気づかない場合が多いといいます。なかには、レギュラーを手助けしてきても、こう言う学生がいるというのです。
「そんな当たり前のことがアピール材料になるんですか、と驚く学生がいる」
自分の〝売り〟は、なかなか気づきにくいものかもしれません。
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