心のウイルスの感染力も凄い

 人には、差別や偏見に対抗できる〝免疫〟が確かに備わっています。何でもない日常では、その免疫は偏見や差別的な言動を封じ込める機能を果たしています。  

 しかし、パニックやそれに近い状況に置かれると、この〝免疫力〟は極端に低下し、普段なら軽蔑していた振る舞いを平気で実行させてしまいます。  

 ニューヨーク・タイムズの記事を読むと、中国を中心にした新型コロナウイルスの感染拡大とともに中国人に対する「ゼノフォビア(外国人恐怖)」や悪感情が世界的に広がっているといいます。   記事によると、フランスでは中国人と間違えられたベトナム人女性がこう罵倒されたそうです。 「ウイルスを広めるな、汚い中国人め」  

 香港や韓国、ベトナムの店では「中国本土からの客は歓迎しない」という張り紙が貼り出されたようです。日本のツイッターでは、「#中国人は日本に来るな」がトレンド入りしています。  

 新型コロナウイルスだけでなく、心に忍び寄り、差別や偏見をそそのかす〝ウイルス〟もまたヒトからヒトへと瞬く間に感染していくようです。 

 

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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