故郷の風が問い詰める

 詩人で歌人でもあった中原中也に、「帰郷」という詩があります。 

<柱も庭も乾いてゐる 今日は好い天気だ これが私の故里(ふるさと)だ さやかに風も吹いてゐる 今日は好い天気だ>  

 そう言いながらも、中也が故郷の光景に感じたのは安心や心地良さばかりではないはずです。  

 詩は、こう結ばれています。 

<あゝ  おまへはなにをして来たのだと… 吹き来る風が私に云ふ>  

 故郷の風が、中也を問い詰めています。  

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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