アスリートが体験する〝フロー〟の境地

 アスリートが絶好調時に感じる心身一体の流れるような感覚は、まさに流れている感じなので「フロー」と呼ばれています。   

 アスリートはその状態になると試合に熱中し、苦痛を感じたり、自分の弱さを覚えたりすることもないといいます。まさに、呼吸をしていることさえも感じないまま「ゾーンに入る」「最高潮」「没我体験」などといった状況なのでしょう。  

 大相撲初場所で、幕尻の徳勝龍が、14勝1敗という成績で優勝しました。幕尻とは、幕内で最も番付の低い力士のことです。  

 徳勝龍の今場所の取り組みで心身一体のフローかと思わせたのは、まず1敗対決の正代も降した5日連続の突き落としでした。さらに大関・貴景勝との千秋楽の結びの一番では大関を堂々と寄り切って優勝を決めています。この一番では、自身の188キロの体を見事に〝フロー〟の流れに乗せていました。 

「自分なんかが優勝していいんでしょうか」  

 フローは、優勝インタビューにもおよんでいました。自然体でお客を沸かせ、笑わせ、場所中に亡くなった大学時代の恩師への感謝を語って観客の涙を誘っています。   

 アスリートなら、きっと一度は経験してみたい心身一体の絶好調でした。

  

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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