ネット時代の流言飛語

 ネット上で〝新型肺炎感染の疑いのある観光客〟が関西空港の検疫を振り切って逃げたというデマが拡散し、空港検疫所が否定する騒ぎがありました。デマの火元は中国版ツイッターに載った書き込みの画像ですが、発信元は今もって不明のままです。  

 中国では「バナナを食べると新型肺炎に感染する」といったデマもネット上で飛び交い、それが日本語にも翻訳され、拡散されています。  

 ネット時代になり、デマも一瞬で国境を越えて広まっていきます。それが面白半分で拡散され、悪意によって改変されて混乱を広げてしまう危うい時代を迎えています。  

 昔、電話が世の出たころ「コレラは電話で伝染する」との流言が流れたといいますが、古くから〝得体の知れない恐怖〟は新しい情報テクノロジーと相性がいいようです。  

 江戸安政期にコレラ流行が流行したとき、「コレラは外国人が井戸に毒を入れたのが原因である」という流言が流れています。さらに、「医者は金儲けのためにわざと病人を治さない」という中傷も飛んだと伝えられています。当時、外国人はそんな流言の背後に尊王攘夷派や僧侶の扇動があると見ていたようです。  

 こうした流言の量は、問題の重要さと状況の曖昧さとを掛け合わせたものだという指摘もあります。地震などの災害、戦乱や恐慌、疫病による人々の不安や恐怖が流言の温床になるのは昔も今も変わりません。ただ、ソーシャルメディア時代ならではの大きな変化もありそうです。


#流言飛語 #フェイクニュース

  

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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