ガバナンスに欠ける「かんぽ生命」は逆ギレする

 10月に予定されていた営業再開を再延期した「かんぽ生命」は、ガバナンスがまったく利いていない企業と罵られても言い訳などできないでしょう。   

 高齢者を食い物にした〝不正営業〟はヤクザや半グレなどを〝首謀者〟とする反社会的勢力の〝振り込め詐欺〟と何ら変わるところがなく、今では誰もがその実態解明に追われている経営の惨状を知っています。  

 その「かんぽ生命」を傘下に置く日本郵政グループは約1年前、不正営業を報じたNHKを恥ずかしくもなく〝ガバナンスに欠陥がある〟と批判しています。  

 NHKは昨年4月、調査報道番組で「かんぽ生命」の不正営業を特集し、続編を制作して情報を求める動画のネット公開を行いました。これに対して報道を不当とする日本郵政グループ側は、対応した番組幹部の説明の不備を〝ガバナンスの欠陥〟と指弾してきたのです。  

 辞書を見ると、「逆ギレ」はこう説明されています。 

「注意を受けるべき人が逆に怒り出すこと」  

 これは未熟な人の感情的な暴発でないかぎり、相手の追及をかわして事をうやむやにする術策でもあります。  

 しかし、NHKはその指弾を受けて続編の放送を延期し、動画も削除しています。驚くのは日本郵政グループ側がなおもNHK経営委員会にガバナンス強化を求め、これに応じた同委員会がNHK会長に厳重注意して日本郵政グループ側に報告していたことです。  

 NHKは、郵政グループ側の番組幹部の言葉尻をとらえた〝逆ギレ作戦〟に見事に嵌っています。そして、不正営業の報道を堰き止め、郵政側のでたらめな企業統治を延命させたのは〝ガバナンス〟という言葉でした。それが「上意下達」と同じ意味を持つ〝魔語〟のように流通している日本郵政グループとNHKに共通している〝体質〟が心配されます。


#逆ギレ #かんぽ生命 #不正販売

  

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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