怪獣は人の隙を襲ってくる

  今や世界的な怪獣キャラクターとなった「ゴジラ」の誕生は、日本人の戦後の体験に深く根ざしています。南太平洋での原水爆実験はもちろん、戦争体験や台風による災害などともよく関連づけられます。  

 当時を知る世代なら、噴火した「明神礁」という海底火山を思い出す人もいるはずです。1952年、伊豆諸島の青ケ島南方での噴火の観測に赴いた海上保安庁の測量船「第5海洋丸」が消息を絶ち、その噴火に巻き込まれたとわかったのです。  

 行方不明の乗組員31人全員の殉職が認定された遭難の衝撃は大きく、映画「ゴジラ」でも貨物船が消息不明となり「明神礁のときの様」と言うセリフが出てくるほどです。それは、正体のわからない怪獣の存在を連想させる海の火山噴火の恐怖でした。  

 先日、発生したニュージーランドのホワイト島の火山噴火をテレビ映像で見て、そんな古い恐怖が蘇った人もいるでしょう。同島の噴火では50人近くの観光客が巻き込まれ、多数の死者や重体の火傷患者、行方不明者も出ています。  

 ホワイト島には、火山活動を目の当たりにできるとあって年間約1万人の観光客が訪れていたといいます。  

 日本で思い出すのは、登山客が犠牲となった御嶽山の噴火です。当時、警戒レベル1で「平常」とされた状況下での戦後最悪の火山災害でした。やはり、怪獣は人の隙を襲うということでしょう。

 

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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