「寄らば大樹の陰」は通用しない

  これまで就活生の憧れの的だった東芝は今、経営危機に見舞われています。不正会計が招いた2015年の経営危機のあと、さらに同社が成長分野と位置づけていた子会社「ウェステイングハウス」の原子力事業でも数千億円規模の巨額な損失が見込まれているのです。16年3月には医療機器事業と白物家電事業を売却して保有資産も減っている状況で、新たに数千億円規模の損失を乗り切るのは容易なことではないでしょう。  

 中核事業の一つだった東芝メディカルシステムズをキヤノンに売却してヘルスケア事業からは完全に撤退し、事業の大きな柱だったフラッシュメモリー事業の売却も視野に入っています。今後は東芝の解体が加速し、自力での存続も難しいとすら言われています。  

 東芝が事業の切り売りを繰り返していくと、数兆円規模の巨大電機メーカーであっても短期間で消滅してしまいます。そうした前例は、世界中にいくらでもあります。企業を取り巻く現状は、国内の大企業が海外企業に買収されたり、有名企業が大量リストラを実施したりしているのが実態です。

 安定志向のサラリーマンが抱きがちな「寄らば大樹の陰」といった考え方は、もはや通用しなくなっているのです。


 

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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