東大が文系、理系を問わずデッサンの授業を始めた

  ルネサンスの巨匠、ミケランジェロとレオナルド・ダ・ヴィンチは、ともにデッサンを重視したといいます。たとえばミケランジェロは、弟子にこう説いています。

 「とにかく素描しなさい。素描しなさい、時間を無駄にしないで」  

人は形や陰影、質感などを注意深く見て、再現するための情報量をふくらませます。  

 自然科学にも関心を向けたレオナルドは、人体の解剖までして精密な素描を残しています。科学的な視点がふんだんな彼に対し、ミケランジェロは人間の動きの力強さをとらえていました。  

 両者に違いはありますが、鋭い視線を土台に理想の美を追求した点は共通しています。  

 企業の採用面接では今、AI(人工知能)が応募者の表情をもとに性格を見極め始めました。脳波と心拍からAIで感情を読むシステムなど、人の観察眼に取って代わる新技術が毎日のように報じられています。  

 もはや、AIが芸術分野に入り込んでいくのも荒唐無稽ではないでしょう。  

 東大は今年6月から、専門家を講師に文系、理系を問わずドローイング(デッサン)の授業を始めています。観察力が衰えないかという危機感からでしょか、学生に新しいものの見方を発見してもらうのが狙いだといいます。  

 この点、レオナルドはデッサンについて仲間と一緒に描いて比較すると刺激になると常々語っていたと伝えられています。   

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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