国際的評価に弱い日本人

 さて、国際的評価――。  

 超ワンマンで知られた永田雅一・大映社長は、黒沢明監督が撮った「羅生門」の試写を見てこう言い放ったといいます。 

「わけがわからん」  

 しかし、この作品は1951年のベネチア国際映画祭で堂々のグランプリを獲得し、クロサワの名が世界にとどろく大きな契機となりました。永田社長は一転して受賞作を激賞し、戦争の傷が癒えぬ世の中も大いに沸きました。  

 こうした反応は、現代だってそんなに変わらないでしょう。

 中身は知らなくても、国際的な場で評価を受ければ胸を張りたくなるのが人情というものです。ノーベル賞しかり、オリンピックしかりです。日本人の快挙となると、国家の誉れみたいな気分になります。 

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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