品行は直せても、品性は直らない

 世界的に有名な小津安二郎監督は、1961年に公開された映画「小早川家の秋」で、恐らく最も愛していたとされる女優、原節子にこんなセリフを与えています。 

「品性の悪い人はごめんだわ。品行は直せても、品性は直らないもの」

 縁談に心揺れる司葉子演じる義妹に、助言する場面でした。  

 小津は、近しい人にも同様の発言をしていたといいますから信条だったのでしょう。悲しみのなかでも「私たちはまだ恵まれているほうだよ」と伏し目がちに、含羞の色を浮かべて語る市井の男女を好んで描いています。  

今も作品が世界の人々に愛されるのは、節度を保って生きる作中人物の品性に対する共感かもしれません。  

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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