ユーチューブで世界旅行

  さて、若者に広がる世界旅行――。

 「現地でお金を稼ぎながら世界を旅してみたい」という夢を持つ若者は、少なくありません。ただ、これまで手段は限られていました。そもそも、ビザなど法律上の問題があります。仕事を見つけるのも大変だし、外国語の力も試されます。見知らぬ土地で、危ないワナも多いでしょう。  

 これらの課題を軽く乗り越える手段が、ネットです。たとえば東欧から来日し、都内の安宿に長く滞在する若者は繁華街や路地裏、店や催しなどを動画で撮り、母国の言葉で解説し投稿サイトのユーチューブで公開しています。再生回数によって支払われる広告収入は、旅のすべてを賄うには遠いでしょうが足しにはなります。草の根の情報発信は、新たな旅人も呼ぶでしょう。 

「動画投稿は楽しく儲かる」という認識が若者に広まっているのか、一昨年は中学生男子のなりたい職業の3位がユーチューバーという調査結果も発表されました。なくてもともとの小遣い稼ぎならともかく、生活を支えようとすれば壁も多いはずです。才能やセンスに加え、ユーチューブという特定のサービスに頼る危険もあります。  

 米ユーチューブ本社を銃撃した容疑者は、再生回数を制限され収入が減ったことを恨んだとされています。同社の動画には役立つ情報やほほえましい作品がある一方、裏づけのない医療情報や差別発言なども目立つとの声もあります。夢見る子どもにも参考になるように、収益構造や運営の規則などで一段の情報公開が必要でしょう。

  

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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