高齢者の免許返納には代替サービスが欠かせない

 米国の非営利団体が数年前、こんな調査をしました。 

「子どもにとって、高齢期を迎えた親と語りにくい話題は何か?」  

 首位になった回答は、「葬儀の計画」や「家の売却」などを抑えて「車の運転をやめることの必要性」でした。およそ3人に1人が、この選択肢を選んだといいます。   

 米国のオフィスを舞台とするNHKラジオの「実践ビジネス英語」も昨年、この話を取り上げていました。働く世代にとって「自分の親から車の鍵を取り上げるつらさ」は、それだけ身近で切実な悩みということでしょう。  

 テキストの解説記事は、運転が便利さだけでなく、生きる誇りも支えてきたがゆえの難しさを指摘しています。  

 一方、日本の高齢運転者による死亡事故を見てみると、警察庁のまとめでは75歳以上の「高齢運転者」による死亡事故は、この世代の人数が増えたこともあり高止まりしています。  

 一昨年、団塊世代が70代を迎え始めました。地方から上京して大都市の郊外に家を建て、休日にはマイカーでドライブを楽しんだ集団が75歳に近づいています。  

 米国ではベビーブーマーの高齢化に合わせ、運転で気をつける点をネットで学び、受講者には保険料を割り引く試みが始まっています。買い物や娯楽、学びの場に歩いて行ける町の人気も高まっているといいます。  

 日本の高齢者も、「免許返納を」の呼びかけだけでは抵抗があるでしょう。新サービスから町づくりまで、きめ細かい工夫が必用のはずです。

  

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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