日本では今、「子ども食堂」が急増している

  困っている人ほど、助けを求めないところがあります。どうしていいかわからず、どこに何を求めたらいいかわからないからでしょう。だ。それでも、空腹にはなります。  

 大正時代、米騒動につながる米価高騰が起きると「公営食堂」や「簡易食堂」と呼ばれるものが各地で開設されました。これは、困窮者の救済のために自治体などが運営する食堂のことを指しています。当時、少しのお金で山盛りのご飯を食べることができたため労働者や学生らも列をなしたといいます。  

 今の時代、それと似たものが「子ども食堂」と呼ばれる施設でしょう。実際、スマホは持っていても、まともな食事が学校の給食だけ、風呂にもまともに入れないという子どもがいるのです。  

 いわゆる「子ども食堂」は、見えにくい「貧困」のなかで、それが普通だと思っている子どもらを救おうと始まった民間のボランティア事業です。つまり、今の時代がコメ騒動の起きた時代に似てきたということでしょう。  

 NPO法人「全国こども食堂支援センター・むすびえ」は先月、 その「子ども食堂」が全国で少なくとも3718か所になったと発表しました。前年の1・6倍という急増ぶりです。空き家を活用してほしい人、社会貢献をしたい企業なども運営に乗り出しています。  

 小学校区ごとの「充足率」では、沖縄60・5%に対して秋田5・5%など地域間格差が大きいようです。滋賀県は「子どもが歩いて行ける範囲に1つ以上」を目指し、計300か所の数値目標を掲げています。  

 最近では、独居の高齢者や仕事帰りの人が立ち寄る姿も見かけられるといいます。貧困家庭の子どものためだけでなく、地域の交流拠点としても進化しているようです。  

 ともかく、引きこもりや虐待、依存症など、さまざまな困難を抱えた人たちが集う「食堂」になってほしいものです。  

八丁堀のオッサン

八丁堀に住む、ふつうのオッサン。早稲田大学政治経済学部中退。貿易商社勤務のあと雑誌編集者、『月刊文芸春秋』、『週刊ポスト』記者を経て、現在jジャーナリストとして文字媒体を中心に活動。いろいろな面で同調圧力 にとらわれ、なにかと〝かぶく〟ことが少なくなっているニッポンの風潮が心配。

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