〝新小売〟は中国が一歩、先を行っている

　地方暮らしが今、ブームだといいます。地方移住者に「地方暮らしで不便ではないですか」と聞くと、ほぼ同じ答えが返ってきます。 

「今はアマゾンがありますから」 　

　ネット通販は本や服、映画、食品と打ち出の小槌も顔負けの万能ぶりです。しかし、ネット通販の時代も終わりが近いといった声が中国から聞こえてきます。中国の大手ＩＴ企業トップは、こう発言しています。

「現実の店、ネット、無駄のない物流などが融合した〝新小売〟が10年後の主役」 　

　中国流通業の変化は、無人コンビニやスマホ決済など目覚ましいものがあります。丁寧な接客と洗練された店を誇った日本の小売業ですが、中国はこの段階を飛び越えた進化を目指しているともいえるでしょう。 　

　日本では、伊藤忠商事が従来の方針を変えてグループのコンビニ企業を子会社にしています。電子マネーや顧客データなどを生かした新しい店を急ぎ開発するためです。その参考の一つが、中国の無人店舗だといいます。大手流通グループのイオンも、中国でＩＴにより店員をグッと減らした大型の店をつくります。いずれ、日本などにも広げていく構想があるようです。 　

　労働者改め消費者の国となった中国では今、新小売業が大きく花開いています。無人店は誤作動も多く、まだ利益も出ていません。１０年後のため数を増やし、データを溜めているようです。 　

　この点、日本企業は乗り遅れています。中国の目線の遠さを、日本企業も持つ必要があるでしょう。